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<台湾総統選>地元で国民党候補が惨敗、内部対立避けられるか?

台湾総統選を少し踏み込んで考えてみる。

台湾南部では、敗退した韓国瑜氏が高雄市長を務めているが、民進党(与党)の強い地域である。台湾は戦後、大陸からやってきた国民党(野党)とそうでない勢力に分けられる。前者を外省人、後者を内省人という。台湾南部は内省人のテリトリーだ。

今回、選挙管理委員会から公表されたデータでも高雄市選挙区においては、蔡英文氏は109万7,621票だったのに対し、韓氏は61万896票だった。意外なことに韓氏は地元で大敗したのである。それと対照的なのは、台北市蔡英文氏が87万5,854票だったのに対して、韓国瑜氏は68万5,830票と意外と競り合いに近い状態に持ち込んだ。台北外省人が多く、蔡氏は苦戦したものとみられる。特に蔡氏が票どりに苦労したとみられるのは、中小企業主、さらに軍隊関連施設の多い地域だ。今後、中国共産党はそうした勢力に働きかけを強化すると思う。しかし外省人はどんどん高齢化していっている。

民進党が大きなキープレーヤーであることは不変だろう。蔡氏は台湾の憲政史上、最多の得票で当選した。ただし台湾の岩盤保守層は意外と手厚いと作者が感じたのも事実である。このため勝利宣言では蔡氏は「もうノーサイドだ」と台湾人民の一致団結を高らかに呼びかけたのである。