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いいNHKの映画だった「大殺陣」、ひ弱な甲府宰相暗殺との設定

本ブログは医療をめぐる対価についてNHKを批判した。しかし昨日NHK放映の往年のハードボイルド映画「大殺陣」は非常に良かった。江戸幕府が急速に武断性から文治性へと舵を切る世の中。その代表が甲府藩だったり、御三卿だったり、ご連枝だったりする。ようは領土だけあって本家が血縁断絶のピンチの際に登板する役割だけ。領地に城郭はなく参勤交代は免除され、江戸にずっと安寧に居住していた。そこでは文武両道はかるんじられた。そうした幕藩体制に基づく江戸幕府は資本主義制度や国防の近代化に大幅に遅れをとった。国際感覚に疎く、武家とは相も入れない生活を行ってきた将軍や取り巻きたちである。その中で例外だったのが常備軍的色彩の強い火付盗賊改「鬼平犯科帳」(長谷川平蔵)、今でも治安が悪いとされる北関東の警らを行った「関八州取締出役」だった。しかし定員は100人にも満たず、活動は限定された。実際、幕末に欧米列強が襲来したときに江戸幕府は対応に大あらわで、国境警護を外様を含む大名家に丸投げする体たらくだった。(対馬はロシアに占領されて幕府は奪還に難儀をした)そうした江戸幕府に賛同しかねた人たちが実は明治維新よりはるか前にいてその活動を描いた映画が「大殺陣」であり、「柳生一族の陰謀」(例えば侍をいとも簡単に斬って捨てる公家の烏丸少将<成田三樹夫演>)であり、「影の軍団」だった。こうした人物は直接は明治維新につながることはなかったが、江戸幕府側から維新政府に参与したのはわずかであった。

 

なお難しいのが大岡越前で知られる町奉行である。町奉行は火付盗賊改と違い、文官。基本は現場で被疑者を捕縛し、裁判へかけた。しかし実際の江戸の警備は町奉行はほとんどノータッチだった。この前のNHK「タイムスクープハンター」(要潤・杏主演)をご覧の方は分かるだろうが、江戸の細かな警備は町人(ガードマン)が担当していた。そこで残るのが「十手持ち」。彼らは「武士」ではなく「親分」。反社会的勢力だったこともあるらしく、助っ人として捕り物に出たネタで被害者をゆすることもあったらしい。